研究課題/領域番号 |
08650008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森本 章治 金沢大学, 工学部, 助教授 (60143880)
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研究分担者 |
久米田 稔 金沢大学, 工学部, 教授 (30019773)
清水 立生 金沢大学, 工学部, 教授 (30019715)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | レーザアブレーション / 薄膜堆積機構 / チタン酸ジルコン酸鉛(PZT) / Pb欠損 / 蒸発モデル / スパッタモデル / 窒化チタンアルミ(TiAlN)電極 / N欠損 |
研究概要 |
レーザアブレーション法を用いた本研究の目的は、種々の薄膜の堆積機構の解明である。対象としたのは主に、不揮発メモリ用強誘電体として注目されているPb(Zr_<1-x>Ti_x)O_3(PZT)やPZT用電極として提案してきた新しい電極材料であるTi_<1-x>A1_xN(TAN)である。その他、YBCO高温超伝導体薄膜や、BiIG強磁性体薄膜についても研究を行った。 PZT薄膜は還元雰囲気で作製された時、Pb濃度が欠損することが知られているが、その原因は不明であった。ここでは、Pb及びPbOの高い蒸気圧による堆積粒子からのPbの蒸発欠損モデルとZr、Ti原子によるPbのスパッタによるスパッタ欠損モデルである。低い基板温度で真空中で作製されたPZT薄膜で生じるPb欠損は、スパッタモデルでも蒸発モデルでもいずれでもほぼ説明可能であることがわかった。しかし、高い基板温度で高い希ガス雰囲気圧力で生じるPb欠損は蒸発モデルでのみ説明される。しかし、低い基板温度で真空中で作製されたPZTでのPb欠損は、基板上で中央付近で顕著というプルームに対して横方向の不均一性と、ターゲットからの距離が大きいほど顕著となる縦方向の不均一性という2種類の不均一性を有している。前者はスパッタモデルでのみ、後者は蒸発モデルのみ説明され、未だこの矛盾は解けていない。 またTAN電極薄膜の堆積過程を調べた実験では、TANターゲットを窒素雰囲気でレーザアブレーションし、その結晶性や不純物酸素濃度などを調べた。その結果、真空雰囲気よりわずかに窒素ガスを導入した雰囲気の方が、結晶性もよく、酸素濃度も少ないことがわかった。しかし、過剰の窒素雰囲気圧力はむしろ結晶性を劣化させ、酸素濃度を増やすという結果となった。これは、わずかの窒素ガスはTAN薄膜の窒素欠損を補い、過剰の窒素ガスは堆積粒子の冷却を招き、マイグレーションを抑制したためと思われる。
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