研究課題/領域番号 |
08650031
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 博司 京都大学, 工学研究科, 助手 (20127103)
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研究分担者 |
後藤 康仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (00225666)
石川 順三 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026278)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 負イオン注入 / 絶縁物 / 表面電位 / 二次電子放出比 / 二次電子エネルギー分布 / 電気二重層 / 無帯電 / 表面障壁 |
研究概要 |
1.種々の無機及び有機物質絶縁物(溶融石英、無アルカリガラス、熱酸化シリコン膜、フォトレジスト、ポリスチレン、ポリエチレン)に10〜100nA程度の炭素負イオンを2keVから30keVのエネルギー範囲で注入し、このとき放出される二次電子エネルギー分布のピーク移動量から絶縁物表面の電位を測定した。その結果、表面電位は何れも負電位で注入エネルギーにより電位は少し低下した。無機物質は-2V〜-8V程度で、有機物質のポリエチレンやポリエチレンは-5〜-13eV程度であった。このように、負イオン注入では、注入エネルギーが数十keVと極めて高いにも関わらず、帯電による表面電位は負の数V程度と無帯電に近いことが確認された。 2.二酸化シリコンの薄膜を用いて、膜厚方向にリ-ク電流を流して帯電を補償して、帯電の無い状態での炭素負イオン注入における二次電子放出比を測定した。その結果、注入エネルギーが500eV程度以上では、電子放出比は1以上で、注入エネルギーの平方根(イオン速度)に比例して増加した。 3.負イオン注入中の絶縁物の表面電位は僅かに負電位であり、この状態で二次電子放出比は1となって平衡しいることから、そして、帯電が無い状態での二次電子放出比が1以上であることから、負イオン注入中には絶縁物表面に表面側が負電荷層、内部側に正電荷層という電気二重層が形成されているとして、電気二重層モデルを提案した。このモデルにより、表面側の負電荷層により、絶縁物の仕事関数が増加し、これが二次電子放出の際の表面障壁を増加するので二次電子放出比が抑制されることが判った。また、表面側が負電荷層であるが、内部側の正電荷層により、表面の電位が僅かな負電位となることが判明した。
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