研究課題/領域番号 |
08650032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠井 秀明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00177354)
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研究分担者 |
中西 寛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40237326)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | コンダクタンスの量子化 / STM / 点状接触 / 電子相関 / ハバード・モデル / 金属表面 / ハバ-ド・モデル / ハバ-ドモデル |
研究概要 |
将来の原子サイズエレクトロニクスにおいて生じる種々の問題点を探るため、本研究では原子架橋の量子輸送現象に対する架橋の形状に起因する効果と電子相関効果の理論的解析を行なった。 金属表面に走査型トンネル電子顕微鏡の探針を押しつけ徐々に引き上げると、探針の先が原子サイズであるため、断面が数個から数十個程度の原子からなる接合部分(原子架橋)が形成される。 この原子架橋の電気伝導度は、探針を徐々に表面から引き離す過程でステップ状に変化しながら減少する。本研究では探針引き上げ過程における伝導度の変化のモデル計算を行なった。結果の概要を以下に示す。 1. 架橋の形状に起因する効果:架橋の断面形状の不揃いは伝導電子の散乱の原因となり、電気伝導度の階段状の変化を崩す原因となる。 2. 電子相関効果:原子架橋では遮蔽効果が効かず、有限温度において電子相関効果が顕著に現れる。すなわち、有限温度で、フェルミエネルギーよりも高エネルギー側のスピン↓(↑)電子と低エネルギー側のスピン↓(↑)電子の間に、クーロン相互作用による散乱プロセスが生じる。この時、↑と↓の電子状態を交換することにより、電子系のエネルギーを一定に保った散乱が可能となり、伝導を担う電子が有限の寿命を持つ。このことにより伝導度に以下の特徴が現れる。 (1) プラトー領域(伝導度が一定の領域)において、伝導度の値はクーロン相互作用を考慮しない場合に予想されるユニバーサルな値(e^2/hの整数倍)から減少する。温度の上昇とともに、その減少量は増大する。 (2) ステップ近傍において、局部的に伝導度が急峻に減少し、バレイ構造が出現する。温度の低下とともにバレイの幅は狭くなり,バレイの深さは増す。原子架橋のサブバンドの電子状態は架橋に沿っての一次元性に起因してバンド端で高い状態密度をもつ。このバンド端がフェルミ面と交差する場合(ステップ近傍)では、効果的にクーロン相互作用による上述の電子散乱が増強される。このことがバレイ構造が生ずる原因である。
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