研究概要 |
1.島状構造および網目状構造薄膜の作製 Ti下地膜上へのAI薄膜堆積による島状および網目状構造薄膜の作製をおこなった。膜厚500nmのTi膜を下地膜とし、この上に膜厚10nm〜80nmのAI膜を基板温度250℃〜600℃において形成することにより、島状および網目状構造薄膜が形成できることを明らかにした。AI膜厚40〜60nmにおいて,基板温度550℃以下では,凝集機構により、薄膜形成初期過程において形成される島状薄膜が得られ、基板温度を600℃以上とすると,島の中央部が凹んだクレーター状の網目類似構造が形成された。このクレーター状構造の形成機構は明白ではないが、基板温度が高い場合にはTi下地膜上におけるAIのフローが促進されることに関連すると推測できる。網目状構造のもととなる島状構造においては、その径を基板温度およびAI膜厚を変化させることにより制御できたが、網目状構造においては、これを形成できる温度範囲が狭く、クレーターの径を大きく変化させることはできなかった。 2.島状構造および網目状構造のフラクタル性評価 網目状構造のフラクタル性の評価をおこなったが、その形状が環状であったため、レークフィリング法といわれるフラクタル性を評価する方法を再現性良く適用することができなかった。そこで、この前駆段階である島状構造に、これを適用し、フラクタル性を求めたところ、ほとんどの成膜条件において島状構造はフラクタル性を示した。フラクタル次元は、AI膜厚が〜60nm程度においては2.0〜2.2程度を示し、AI膜厚が80nmではおおよそ3となった。島状構造と類似の構造を示すクレーター状網目構造も、同様にフラクタル性を示すと考えられる。フラクタル次元が2に近い場合には,島の成長が離散的である。したがって、網目類似構造においても、同様に離散的構造が保たれていると考えられる。
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