研究概要 |
コンピュータ支援診断(CAD)に使用するX線画像は充分な診断情報を持ったものでなければならない.CADシステムの構築をするために,X線画像に及ぼす散乱X線の影響を調べた. 1.X線スペクトルの測定:X線画像の画質や患者の被曝線量を考える上でX線管から放出されたX線の性質を知っておくことは大切である.高純度ゲルマニウム検出器と鉛ディスク,円錐形コリメータを用いて散乱X線スペクトルの測定方法を確立した.また,近年注目されているカドミウムジンクテルライド検出器を用いて臨床で使用しているX線装置のスペクトル測定を行ない,その有用性を確認した. 2.散乱X線含有率の測定:実験配置を動かすことなく散乱X線除去用グリッド(以下,グリッド)を交換できる実験専用のブッキーテーブルを開発した.これを使って蛍光量計と鉛ディスクを用いた散乱X線含有率測定法を確立した. 3.散乱X線除去用グリッドの性能評価:グリッドの散乱線除去効果をモンテカルロシミュレーションを用いて調べた.また,近年開発された病室撮影用グリッドの性能を実験で評価した.その結果,新しいグリッドは撮影条件を工夫すれば大変有用であることがわかった. 4.嚥下検査を対象としたCADシステム構築の準備:嚥下運動の解析を行なうためのX線TVシステム,画像記録装置,画像処理・保存装置,嚥下障害者用X線撮影台の選定などを行なった.ある患者について嚥下透視検査と内視鏡検査で経過観察することで誤嚥性肺炎を予防することができた.
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