研究概要 |
著者は先に時系列モデルの系列相関の検定法し,その有効性を立証している。本研究では,まずその適用範囲を広げ広範な実証研究を行った。一例として,適切であることが未だ証明されていないGARCH-M時系列モデルでのリスク・プレミアムの存在の有無の検証にも利用可能であることを示した。その結果,日本の株価指数に関しては,経済理論と整合的なリスク・プレミアムの存在が観測されている。 本研究では,この手法を拡張し,複数の時系列の間の相関の検定にも適用可能であること,更に,時系列ではない単独の確率変数の検定にも適用可能であることを示した。 本研究の過程で,シュミレーション上の必要から,GARCH時系列モデルのサンプルパスの効率的生成法を提案した。この結果はGARCHモデルのより効果的なパラメータ推定に利用可能なはずであるが,この部分は現時点では十分な検証にまでは至っていない。 GARCHのサンプルパス生成の問題は,GARCHモデルをマルコフ過程としてみたときの漸近分布への収束の速さとも関連しており,本研究の副産物として,この速さに関するに関する理論的な結果を得た。この結果は,GARCHモデルのパラメータ推定に必要なサンプルパスの長さとも関係している。本研究では,この必要なサンプルパスについても大量のシュミレーション測定を行い,ほぼ理論と整合的な結果を得た。その際,推定の頑健さの検証も行い,十分なサンプルパスがとれるなら結果が極めて頑健であることも確認した。 本研究での過程での副産物として,合理的選挙理論に関する理論的な結果も得て,従来解がないとされていた2次元3主体の最適立地問題について,目的関数をわずかに変更すれば均衝解が存在しうることも示した。
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