研究概要 |
CFRPに用いられるエポキシ母材のじん性が脆いことから、CFRPの層間強度が問題となる.エポキシ母材のじん性を改善する方法として,直径70-100nmの超微粒子のCNBRゴムを樹脂に混入する変性法がある.これによりCFRPのエポキシ母材を改質すれば、その他の機械的特性(引張り強度や耐久性)を損なわずに,はく離強度の向上が期待できる.そこではじめに,エポキシ母材のCNBR変性による界面特性改質に関する情報を得るため,鋼を被着体とするDCB試験片を用い,エポキシ樹脂の静的および疲労荷重下でのモードI接着強度特性に及ぼすゴム変性の効果を調べた.実験の結果,ゴム含有率が10%のとき,エポキシ樹脂の強度がもっとも高くなることがわかった.静的および(き裂進展速度が比較的破壊領域では)疲労荷重下いずれも,CNBR変性により界面強度が大きく改善される.いずれの場合もき裂進展速度が速い領域では凝集破壊,Thresholdを含む低い速度域では界面破壊となる.疲労荷重下で,Thresholdは改善されないこともわかった. CFRPの材料特性評価に当たって,強化材には平織りカーボン繊維布,樹脂にはEpikote 828を用いた.積層板は手積み法により成形,作成した.CFRPの層間はく離強度を中心に,種々の温度における静的引張り/圧縮強度,ModeI層間はく離強度および耐久性等を調べた.実験の結果,層間はく離強度はゴム変性により幅広い温度域で2-3倍改善されることがわかった.ゴム変性してもいずれの温度化においても,静的引張り/圧縮強度の低下は認められなかった.ゴム変性しても(CNBR粒子を混入しても)母材のTg(ガラス転移温度)はほとんど低下しなかった。このことがCFRPの静的強度を低下させなかった理由の一つと考えられる.最後に、疲労強度特性に及ぼすゴム変性の影響を調べたが、CNBR変性しても耐久性は低下しないことがわかった。
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