研究概要 |
本研究は,直径最大10cmの大面積気相合成ダイヤモンド薄板を熱化学研磨法により平面研磨するため,装置を設計,試作し,その研磨特性を評価したものである.従来の方法では,加熱した鉄板とダイヤモンド膜を均一に接触させることが不可能であったため,研磨できる面積が限られていた.そこで,ダイヤモンド膜上で小面積の鉄を摺動させることにより直径最大10cmのダイヤモンド薄板を熱化学研磨するものである.研磨装置は,棒状の鉄の加熱・直径往復運動機構,ダイヤモンド薄板の加熱・回転運動機構,真空チャンバおよび真空排気系からなる. 棒状の鉄の先端は最高830℃に加熱され,摺動速度は最高0.17mm/sである.また,ダイヤモンド薄板は最高700℃に加熱され,回転速度は0.36〜5.6rpmである.試料のダイヤモンド薄板はアーク放電プラズマジェットCVD法により合成した.あらかじめ♯400のダイヤモンド砥石によりダイヤモンド薄板の表面凹凸を粗仕上げし,その後,試作した装置により0.1Paの真空中で研磨を行った結果,残された表面凹凸が除去されることを確認した.この方法は,鉄とダイヤモンド薄板の接触時間が短いためダイヤモンド薄板の面積が大きくなるにしたがって長い研磨時間を必要とするが,低荷重で薄板全面を均一に研磨することができることがわかった.
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