| 研究概要 |
1.びびり振動抑制効果の実験的検討
最もびびり振動を生じやすいとされるx-z軸制御,y軸ピックフィールド方式をとり,両側に円弧部と斜面部,中央に平底部をもつ型断面を超硬合金製1枚刃のボールエンドミルを用いて形彫りする場合を対象とし,びびり振動を発生する安定限界切込み量を測定する実験を行った.得られた限界切込み量は切削条件や形彫りの昇り行程,降り行程,円弧部の半径,斜面部の傾き角によって相違するが,切屑接触長さを拘束・縮小した刃形(拘束刃形)はいずれの場合にも常に有効であり,安定限界切込み量は1.5倍から3倍に改善されることが確かめられた.
2.切削抵抗の解析的予測(無振動の場合)
前項のボールエンドミルによる平底削りの場合に,任意の切れ刃諸角,任意の拘束接触長さ,任意の切削条件における切削抵抗3分力の経時変化2次元切削の力学的データ(せん断角,せん断面せん断応力,切屑接触長さに関するデータ)のみをデータベースとして解析的に求める手法を開発した.解析による予測結果は実測結果とよく一致する.なお,この手法は幾何学的条件の変更のみで簡単に円弧部,斜面部にも適用することができる.
3.びびり発振過程の計算機シミュレーション
前項の手法をびびりを伴なう動的切削過程の場合に発展させ,これを用いて平底削りにおけるびびり発振過程を計算機上でシミュレートする手法を開発した.現状ではプログラム上の不備が残り完全でないが,一応のシミュレーションに成功し,拘束刃形の制振過程を示すことができた.今後改良して型断面各部のびびり安定限界を具体的に予測できるものとしたいと考えられている.
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