研究概要 |
乱流噴流の十分発達した領域における運動量や物質の輸送がどのような渦構造・渦力学によって生じているかを明らかにすることを目的として,三次元的な渦構造の形状の可視化と,X線熱線流速計による速度測定の同時測定を行った。 実験は水流で行い一様平行流中の円形噴流を可視化した。噴出レイノルズ数は1700程度である。流れの可視化は,蛍光染料フルオレセインナトリウムを噴出流に微量混入して行った。噴流の十分発達した領域でレーザシート光を噴流軸に垂直に照射し,レーザシート光を横切る染料構造の断層画像を得た。断層画像を白黒CCDカメラで撮像し,コンピュータで動画をサンプリングし,その場で積層化画像処理する可視化画像処理システムを構築した。三次元再構成画像処理(積層化処理)には著者らによって開発された高速アルゴリズムを用いた。 得られた三次元的な可視化画像から瞬間的な渦構造の形態を検討し,構造の時間的な周期性,再現性,空間的な軸対称性,反対称性についてを明らかにした。 また,三次元再構成と速度の同時計測はレーザシート光で照らされた断面内の速度計測をX形熱膜プローブを用いて同時に行なった。熱線増幅器からの速度データを撮像ビデオ信号に同期してサンプリングした。 この結果から,染料の三次元的な形状とそのまわりの速度分布が分かり,染料の塊に対応してランキン渦状の渦構造が存在することが明らかになった。また,その渦の誘起速度と染料分布の比較から乱流噴流中の物質輸送に及ぼす渦構造の役割を検討することができた。
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