研究概要 |
内径25mmの円管の先端と円盤(円盤直径60〜140mm)とで構成した薄い円筒状の隙間(隙間の大きさ0.1〜1mm)から水を円盤に沿って放射状に流出し,層流境界層型速度分布を液面まで発達させた液膜を円盤周端から大気中に放出してできる放射状自由液膜流れを対象に実験的研究を行った.隙間からの流出レイノルズ数が小さいときは自由液膜流は層流であるが,レイノルズ数を増大させると円盤周端より数mm下流で乱流遷移が生じ,液膜は微細な渦に支配される.レイノルズ数をさらに増大させると,乱流遷移と同時に液膜に穿孔が生じ,さらにレイノルズ数を増大させると乱流遷移直後で液膜に多数の穿孔が生じ,液膜が微粒化することがわかった.遷移位置付近を詳細に観察した結果,遷移や液膜の穿孔・微粒化は以下のような過程で生じることがわかった. (1)同心円状のしわ状の波の出現とその3次元化による筋状の凹凸の形成. (2)凸部における微細粒状波の集中的派生(乱流遷移)と粒状波の密集した筋状液塊部の形成.凹部の薄膜化による薄膜部の形成. (3)薄膜部における穿孔と孔の拡大.液塊部周縁の微小突起の分離による粒径数十ミクロンメーターの液滴生成(微小突起分離型分裂). (4)液塊部の数珠状液系への変形と液糸の再分裂による粒径数百ミクロンメーターの液滴生成(液塊崩壊型分裂). また,流出レイノルズ数を一層増大させると乱流遷移は円盤上で生じるようになる.この場合には,自由液膜になった後に改めて遷移が生じることはなく,したがって上記の良好な微粒化も生じることはない.また,円盤を回転させた場合も,円盤上で遷移が生じる場合には穿孔が極端に抑制されることも明らかになった.したがって,良好な微粒化が生じる実験条件の範囲があり,この範囲を明らかにした.
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