研究概要 |
本研究は,渦と衝撃波の干渉などが重要となる圧縮性乱流現象解明の基礎研究として,できる限り簡単な系を実験および数値シミュレーションで調べ,現象の本質を明らかにしようとする目的で行われた.そのため,衝撃波管の低圧側の開放瑞から衝撃波を放出させ,そのインパルスによって出口に生成される,約130m/sレイノルズ数で8×10^4程度の渦輪を渦として使用した.色素パルスレーザを用いたシャドウグラフ法により,一連の瞬間写真がフイルム上に記録されコンピュータに読み込まれて解析された. 調べたた系は次の3項である.(1)渦輪の自由運動:衝撃波管による渦輪の生成過程と,層流から乱流渦輪への遷移について.(2)平板へ正面衝突する渦輪および2渦輪の正面衝突:ジェット流中の渦輪列間の運動とショックレットの生成消滅について.(3)平行平板間または平板に沿って進む渦輪:これは3次元現象である.渦と衝撃波の干渉および渦線の変形再結合等について.得られた実験と数値計算の結果は良く一致しており,得た新しい知見の主なものは以下である. 生成渦輪は,衝撃波のインパルスによって生成される強い渦が中心渦核を形成し,その周りを後流の渦シートが覆う二重構造の渦核を持っている.それらの渦核は,それぞれ独立に乱流状態になる.渦輪が進行するにつれ,渦輪の全面を覆う面衝撃波が形成され,また渦輪の前方に小さな細い渦輪が生成される.これは次第に大きくなり渦輪の後方に移動する.これら面衝撃波や細い渦輪は,乱流状態への遷移に何らかの影響を与えているようである.渦輪の背後流中に生じた渦輪列,衝撃波の通過によって励起され強い渦輪列となり,追い抜き運動を次々に行い合体する.相互干渉の過程で生じるショックレットの幾つかはその生成メカニズムが明らかとなり,それには衝撃波管から放出される渦輪背後のジェット流が大きく影響している.
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