研究概要 |
センサヘッドとマイクロコンピュータをA/Dボードを介して接続し,静的状態における誤差を実測し,また,これを大きくする原因を挙げて誤差を解析した.計測誤差の主要な原因として,センサを構成する要素の,1)加工精度や組立精度,2)用いる要素の特性や状態の変化,および3)測定環境中の磁界変化,を挙げ,具体的に,1)について,容器内面の形状精度,容器厚さの不均一性,フロート軸の偏心,ホール素子を取り付ける位置と方向のずれ,磁石を取り付ける位置と方向のずれ,半球容器結合部の不連続性,フロート重心の位置ずれ等,2)について,ホール素子の電気特性の不均一性と対温度特性,容器内液体の温度変化による膨張/収縮等,また,3)について,地球磁場等,の影響を考察した.事実,誤差パラメータとして,ホール素子位置に関するΔβとΔγ,フロート半径に関するΔrc,フロートと容器内壁間のギャップに関するΔX,さらには,フロート面と磁石面の平行度に関するΔε,を定め,これらが平衡覚情報を定めるパラメータ(θとφ)に及ぼす影響を定量的に評価する式を導出した.その結果,ΔXに比べΔrcの方が大きな影響力を与え,気温変化や振動で液量を増減させる液体は本センサの仕様に向かないことを示した.さらに,Δεについてはφに対し0.2倍,φに対し0.4倍の影響を与えることを示した. また,キノコ型フロートの根元部に位置する円板状磁石の他に,細長い永久磁石をフロートの傘部上面に,しかも,両磁石軸をT字状に固定することで加速度方向のみならず,方位をも検出可能になることを見出し,両情報を抽出するための検出原理を明らかにした.このような展開は当初の計画に無かったことで,本研究の価値を一段と高めることが出来た.今後,複雑に動く人体部の計測に役立つセンサの実用化に向けて本研究を発展させていく予定である.
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