研究概要 |
作業者の高齢化による熟練技能者の減少に対処するためには,未熟者への技能提示のための有効な手法の開発が必要となる.ヒューマンインタフェース技術に関する多くの研究が進められているが,有効な方法は依然実用化されていない. 未熟者が技能者から教示される技能には,技術的要素だけでなく,言語や数式で記述できない要素がある.たとえば,作業中の姿勢を言葉を用いて表現することは困難である.我々は,錯誤感覚制御(illusion-control)を用いた作業中の姿勢を教示するためのディスプレイを開発した.このディスプレイを用いることにより,作業者には熟練者の姿勢と同じ姿勢をとっているような錯覚が生じる. 作業者の熟練レベルに応じてこのディスプレイを使うためには,作業者の熟練度が測定されねばならない.作業結果や作業時間等を評価することによって熟練度が明らかになるが,我々は作業誤差と作業時間から熟練レベルを評価する方法を提案し,実験による評価を行い,熟練レベルと生理情報の関係を明らかにした. 本研究の結果,以下に示す結論が得られた. 1.感覚ディスプレイの試作と評価 (1)錯誤感覚制御の提案を行った. (2)錯誤感覚制御を使って姿勢を提示するディスプレイを開発・評価した. 2.熟練度の評価法の提案とインタフェース (1)生理情報を非接触で計測する手法を提案し,試作装置による評価を行った. (2)技能の熟練過程を間接的に評価する手法を提案した. (3)インタフェースの変更が熟練過程へ及ぼす影響を明らかにした.
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