研究概要 |
本研究は平成8年度から3カ年に亘って遂行した計画であり,以下の研究実績を得た。 1. リング形状永久磁石の試作 Nd-Fe-B系永久磁石材料を外径27mm,内径15mm,厚さ1.6mmのリング形状に加工し,各片面をN極およびS極の2極に均等面積着磁したものを試作した。 2. アクチュエータの機構試作 試作したリング形状磁石を3個同軸上に配置でき,両側の2個の磁石を回転運動させ,中央の磁石の回転運動を拘束する機構を設計・試作し,中央に配置された磁石の直線往復運動動作を確認した。 3. ポンプの負荷試験装置の製作 試作したポンプの出力特性測定を目的とした負荷試験装置を製作した。アクチュエータの回転運動磁石の回転角および直線往復運動磁石の変位を計測するため,エンコーダ,リニアポテンショメータ,電子回路,ディジタルオシロスコープおよびパソコンなどからなる計測システムを構築した。 4. アクチュエータおよびポンプの特性評価試験 試作したポンプを負荷試験装置に接続し,水圧をかけたときのポンプの出力特性を実測した。ここで,回転連動磁石の回転数は0〜70rpmの範囲で測定した。 5. 電気・機械形エネルギー変換動作の解析 回転磁石の駆動法を工夫し,従来の一定回転駆動から階段波駆動にすることで,約2倍のポンプ出力を得た。 6. 実験および数値解析によるポンプの総合評価 アクチュエータに与える回転運動エネルギーをトルクメータにより測定し,この値をディジタル信号化してアクチュエータ入力を算出した。これとポンプ入力よりアクチュエータの効率を計算し,これが90%以上の高効率であることを確認した。さらに,ポンプ出力から,ポンプ効率を求め,これが50%程度であることを確認した。ポンプ出力としては,ヒトの心臓の約20%程度の出力を得ることに成功した。
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