研究概要 |
地球規模でエネルギー・環境問題を考えることが緊急な時期にあり,教育面でもこれらの講義・解説だけでなく実験を行うことが最も効果的であると考え,新エネルギーに関する教育実験設備の開発の研究を計画した.本校での実験が可能なものとして,エネルギー源に太陽光と風力,二次エネルギーとして水素を選び,これらの組み合わせたものを中心の装置とし,教育用に止まらずに今後のエネルギー利用の一つのモデルとしての実用的なシステムヘの応用を検討しながら装置の開発を行ってきた.目標としたシステム全体の動作までは到らなかったが,個々のテーマの実験も可能となるようにして,太陽光発電,風力発電,燃料電池等に関する次のような,教育用実験装置とテキストを完成させることができた. 1)太陽光発電の基礎:小型のソ-ラーカーの動作,太陽光のパネルヘの入射角の変化に対する電流と電圧の変化,インバータを用いた交流電圧の発生. 2)太陽電池の特性:日射量をパラメータにした電圧・電流特性,日射量に対する開放電圧・短絡電流の測定. 3)太陽追尾:常に太陽の方向を向いているパネルと,向きが固定のパネルとの,得られるエネルギー量の比較. 4)風力発電:風速と発電機出力の関係の測定.インバータを用いた交流の発生. 5)太陽光・風力エネルギーによる水素の製造:水素エネルギーの利用を想定した,ソーラーパネルおよび風力発電機電力による水の電気分解. 6)水素の分離・精製:水素を貯蔵する目的で,パラジウム膜による水素の精製. 7)燃料電池:水素・酸素の供給量に対する,燃料電池の電圧・電流特性の測定. システム全体を通じての実験を行い,実際に授業に組み入れて,その効果,学生の反響を確かめることが今後の課題である.
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