研究概要 |
高分子/液体窒素複合絶縁系の電気絶縁性能に及ぼす液体窒素流動の影響を調査するため,液体窒素流動時と自然対流時において以下の事項について実験を実施した.なお,液体窒素の流動は,気泡が発生しやすい熱的な方法に依らず,液体窒素タンクを加圧して液体窒素を容器内に送り込むことにより行った. 1.棒-平板電極系における液体窒素の破壊電圧. 2.平行平板に挟んだ円柱状アクリル樹脂の沿面放電電圧. 3.棒-平板間に挟んだ単層ポリエチレンフィルムの部分放電を介した絶縁破壊までの寿命および部分放電特性. 4.ポリエチレンフィルムを積層にした場合の絶縁破壊までの寿命および部分放電特性. 本研究で得られた成果を以下に示す. 1.液体窒素自体の絶縁破壊電圧は,流動時の方が自然対流時に比べてわずかに高い. 2.液体窒素流動時のアクリル樹脂の沿面放電電圧は,自然対流時に比べてやや上昇する. 3.液体窒素流動時の方が自然対流時に比べて部分放電を介した絶縁破壊までの寿命が長い. 4.放電開始電圧および放電消滅電圧は,液体窒素流動時の方が高い. 5.放電電荷量および放電パルス数は,液体窒素流動時の方が少ない. 6.自然対流時には放電は定常的に発生しているが,液体窒素流動時には消滅する場合がある. 7.フィルムを積層にした場合でも,同様の現象が認められる. 8.以上の結果を総合的に判断すると,液体窒素流動により部分放電の発生および進展が抑制されるため流動時の電気絶縁性能が向上するものと考えられる.
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