研究概要 |
1.配向膜としてポリビニルアルコール(PVA)又はポリイミド膜を塗布した基板を用いて液晶セルを作製し,液晶の封入時からの時間経過と液晶分子配向効果を測定した結果,PVA膜を用いた場合には時間の経過と共に配向効果が強くなり,いわゆる配向のメモリ効果がゆっくり進行しているのに対して,ポリイミド膜では比較的短い時間で分子配向効果が安定化されることが見出された。 2.液晶セルにおけるストークスパラメータを測定することで,液晶分子配向の捻れ(ツイスト)の戻り角を測定し、またその結果から基板界面における配向規制力(アンカリングエネルギー)を測定するという新規な手法を開発し,基板界面における液晶分子配向特性の解析を行うことができた。 3.紫外線硬化形(UVキュアラブル)液晶を用いて液晶セルを作製し,基板界面における液晶分子配向状態を凍結したのち切断・研磨して顕微鏡観察を行うという新規な手法により,液晶分子配向状態の視覚化を行うことができた。また,この手法を適用することにより,液晶セル内における実際の分子配向状態を表示すると共に液晶分子が基板に対してある角度をなして配向しているプレティルト角を直接求めることができた。 4.液晶セル基板上で液晶にミクロな流動効果を与えることで基板に配向機能を持たせた液晶セルを作製した。その結果,通常のラビング処理を行った場合に2〜3°程度の比較的小さなプレティルト角を示すポリイミド系の配向膜を用いた場合にはプレティルト角が0度となり,一方ラビング時に10°程度の高プレティルト角を示すポリイミド配向膜を用いた場合には数10°もの高いプレティルト角を示すことが見出された。 5.液晶を付けたローラーを用いて印刷の手法により基板上で液晶分子のミクロな配向効果を生じさせたのち,一定時間保持して液晶分子配向効果をメモリすることで,液晶分子が基板に平行に配向しているホモジニアス配向状態を得ることができた。また,一度配向処理を行った後は,異なった方向にローラーを回転移動することで別の方向に配向を行っても元の配向状態が維持されていることが確認され,マルチドメイン状の分子配向状態を形成できることが見出された。
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