研究概要 |
磁気弾性表面波でソリトンを生成し,磁界印加によってソリトン特性を制御可能なデジタル対応の弾性表面波デバイスへの応用を終局的目的に据えて研究を行った.ソリトンの実験的研究には波動の精密測定が不可欠であり,これまで光源にHe-Neレーザを用いてRaman-Nath回折を利用したレーザ・プローブによって弾性表面波振幅を0.05Åの高精度で計測できるシステムを作製した.しかし回折を用いているため照射スポットを大きくせねばならず空間分解能が低く,また連続光のため時間分解能も低く波形形状の再生には不十分であった.本研究では光源にレーザ・ダイオードを1GHzで変調しパルス光にし,ナイフエッジ法によって1μmの高空間分解能と数psの高時間分解能をもち,かつ回折法と同等の波動振幅を検出するシステムを完成させた.これによって弾性表面波の局所的波形を再生できるようになった(International Topical Meeting on Microwave Photonics,Dec.1996)および詳細はJournal of Applied Physicsに投稿中である. 本題の磁気弾性表面波ソリトン媒体には高周波駆動のため磁性合金は損失が大きく適さない.われわれは大きな非線型ピエゾ磁気を示す弱強磁性酸化物に注目している.現在ヘマタイト(α-Fe_2O_3)単結晶板を用いた弾性表面波素子の作製を行っており,上述の計測システムによって磁気弾性波ソリトンの研究を行う.
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