研究概要 |
平成8・9年度の二年間にわたる研究により,所期の目的である「GUI環境の下で動作する汎用プログラムの開発」にはほぼ成功した.これまでに完成し,すぐに利用出来るプログラムは,次の二つである:(1)柱体による散乱のシミユレータ;(2)格子回折問題のシミユレータ.利用者は,Windows上のGUI環境において問題を設定すれば,解法理論や数値計算に関する特別の知識を要求されることなく,希望する出力データを得ることが出来る.また,GUI環境はWindows上のVisualBasicで実現し,数値計算部にはFORTRAN言語を採用したので,プログラミングの知識を持つ利用者は容易にこれらのプログラムをカスタマイズすることが出来る.現在,(1)および(2)に続くものとして,(3)3次元物体による散乱のシミユレータと(4)回折格子の自動設計システムを開発している.これらのプログラムは,(4)を除いて,その汎用性のためにかえって実用性に乏しいきらいがあるかもしれない.この欠点は,しかしながら,カスタマイズの容易さによって補われるものと考えている.さらに,この研究を計画した動機である「計算電磁気学の一層の普及と発展」という見地から見ると,これらのプログラムは,この分野への入門ないしは教育用のソフトウエアとして有効に利用されることが期待できる.研究成果報告書においては,これらの点を考慮し,(1)および(2)を構成する各部を詳細に解説し,本研究の成果を利用しようとする研究者・技術者の便宜を図ることとした.
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