フォトニックバンドギャップとは結晶構造における原子の配列周期と同程度の波長をもつ光波が阻止される現象である。この特性を定性的・定量的に把握することにより、新しいバンド特性を与えるような結晶構造が理論的に予測され、有益な電気電子材料やデバイスを構成するための基礎資料が得ることができる。本研究年度内には、(イ)リボン導体を2次元的に周期配列した格子、(ロ)円板導体を3次元的に周期配列した格子の二種類を考察の対象とした。これらを精密な電磁波動論の立場からマクスウェル方程式の境界値問題として精密に定式化することにより、積分方程式の解法問題に帰着させた。それをモーメント法により等価な連立1次方程式に変形し、コンピュータにより数値解析した。 (イ)に関しては分散特性と平面電磁波散乱特性の両方を求め、ストップバンドがほぼ同一の周波数帯で形成されることから、両者に物理的な対応関係があることを確認した。さらに周期構造の等価誘電率を算出し、電気材料を設計するための基礎資料を得た。 (ロ)に関しては分散特性と散乱特性との対応は把握できなかったが、散乱問題の方のみを精密に数値解析し、円板のサイズに依存した周波数でストップバンドが形成されることを確かめた。以上に加えて、(イ・ロ)ともに古典的な静電近似解を数値計算結果と比較し、近似解が周波数の低い領域でのみ正確な特性を与えることを明らかにした。
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