研究課題/領域番号 |
08650439
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
情報通信工学
|
研究機関 | 北海道東海大学 |
研究代表者 |
阿波加 純 北海道東海大学, 工学部, 教授 (40232079)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | リモートセンシング / JERS-1 / 合成開口レーダ / マイクロ波 / 散乱断面積 / 積雪 / 植生 / 水田 / 衛星リモートセンシング / 光学データ / 稲 |
研究概要 |
地球資源衛星1号(JERS-1)のマイクロ波合成開ロレーダ(SAR)のデータを用いて、石狩平野における積雪情報や稲などの農作物の成長度合いの情報を抽出する手法を開発し、マイクロ波リモートセンシングによる広域モニタリングの有効性を明らかにすることを目的に研究を開始した。宇宙開発事業団から、1996年以降のデータを入手し、解析を行った。 JERS-1衛星搭載LバンドSARで観測した水田の規格化された散乱断面積(NRCS:これはレーダ反射エコーの大きさを表す物理量で、レーダ反射エコーが強いほどNRCSは大きい)の季節変化を調べた。その結果、稲が成長する夏季、および水田が積雪に覆われる冬季にNRCSは大きな値を示していることが判明した。稲が成長する夏季にSARで観測したNRCSが大きくなるのは従来から知られていることであるが、積雪が存在する冬季にもNRCSが大きくなるという結果は、従来言われていることとは逆の傾向であった。本研究の後半は、積雪が存在する冬季にJERS-1のLバンドSARによるNRCSが大きくなると言う結果を理論的検討に解明することに重点をおいた。 JERS-1衛星搭載SARの使用周波数は1.275GHz(Lバンド)と低く、乾雪の場合は、積雪はLバンド電波に対してほぼ透明で、積雪による電波の減衰は無視できる。ただし、乾雪の屈折率は1より大きいため、SARの電波は積雪で屈折し、より急な角度で土壌に入射する(鉛直方向と電波進行方向の間の角度で定義される入射角は小さくなる)。この屈折の影響でNRCSは大きくなる。ただし、土壌表面の凹凸や土壌の含水率が、積雪がある場合と無い場合とで変化しないとしての話である。 積雪が湿っている場合には積雪中の水によって電波が減衰し、減衰した分だけNRCSは小さくなる。他方、積雪が湿っていると、積雪から土壌に水分が補給されるため(積雪の断熱性は高いので、積雪下部の土壌が凍ることはまれである)、土壌の誘電率が大きくなり、積雪と土壌のインピーダンス不整合の割合が増えて散乱されやすくなって、NRCSが大きくなる。すなわち、積雪が湿っている場合には、積雪による電波の減衰と、積雪と土壌のインピーダンスマッチングの兼ね合いで、積雪がある場合のNRCSは積雪が無い場合に比べて大きくなり得ることが判明した。Lバンドという低い周波数での解析結果であるが、本研究で行った基本的な考え方は、解析手法に体積散乱の効果を含めることで高い周波数帯の理論解析にも適用できると思われる。
|