研究概要 |
本研究の目的は、FMS(flexible manufacturing system)において起きるスケジューリング問題を統合的にモデル化し、その最適解を求める手法を主として数理計画法に基づいて構築することである。 典型的なFMSは、1台で多種の切削加工を自動的に行うマシニングセンタ、加工物の搬入、搬出、搬送を無人で行うAGV(automated guided vehicle)、ロボット及び素材、完成品の保管、入出カを自動的に行う立体自動倉庫からなる。特に、数台以下のマシニングセンタからなる小規模のFMSはFMC(flexible manufacturing cell),また、1台のロボットで搬入、搬出、搬送を行うFMSをロボテイクセルといわれる。 本研究で得られた主な成果は以下の通りである。 1, 2台のマシニングセンタとその中間に洗浄、乾燥などの作業を行うステーションが介在するFMCのスケジューリング問題に対して効率の良い厳密解法を開発した。 2, 2台、または、3台のマシニングセンタがそれぞれ有限容量の仕掛かり用バッファを有するロボテイクセルのスケジューリング問題に対して従来より近似精度の高い近似解法を構築した。 3, 任意台数のマシニングセンタからなるFMSのスケジューリング問題に対して分枝限定法に基づく厳密解法を開発し、それが従来の厳密解法より1桁規模の大きい問題を解き得ることを数値実験により実証した。 4, 立体自動倉庫における入出力計画問題を新たに定式化し、その最適化のための近似解法をグラフ理論に基づいて構築した。また、数値実験によってその近似性能が優れていることを確かめた。 5, 処理時間などが確率変数で与えられるとき、スケジューリングを確率過程と見なすことができ、その最も基本的なマルコフ過程について若干の数学的性質を見出した。
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