| 研究概要 |
本研究では,飽和粘性土の定ひずみ速度圧密試験時の挙動を有限変形理論に基づいた数値解析手法を通して把握するとともに,これまでに提案されている結果の整理法の適用性について検討した.主たる結論は次のようである.
1.微小変形を仮定して有限要素解析数値シミュレーションを行い,その結果を微小変形を仮定しない場合と比較すると,微小変形を設けることによって土の定ひずみ速度圧密試験時の挙動を見誤らせる可能性がある.従って,微小変形を仮定して得られた定ひずみ速度圧密の理論解は,確かに,同試験を実用的なものにはしているが,結果の解釈には十分注意が必要である.
2.著者の提案した整理法は,定ひずみ速度圧密の理論解さえ与えられれば,有限変形・微小変形を問わず,定ひずみ速度圧密度試験結果から試料の構成関係を推定できる.その方法を微小変形圧密理論解に適用して試料の構成関係を推定し,同じく微小変形理論に基礎を置くWissaらの整理法から推定した構成関係と比較した.提案整理法で構成関係を推定すると現行の地盤工学会基準で推奨された速度より10倍以上大きな速度で試験をしても構成関係を推定できる.ただし,推定された構成関係が真のものである保証はない.
3.定ひずみ速度圧密試験に対する有限変形圧密理論解がZnidarcicらによって与えられている.その解に,提案する結果の整理法を適用して試料の構成関係を推定する試みも行った.しかし,理論解を得るために設けられた支配方程式の線形化の仮定の影響のため,推定された構成関係は真の構成関係とは異なったものになる.
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