研究概要 |
情報・通信技術の進歩を背景にわが国を含む先進諸国では,高度交通システム(ITS)の開発競争が繰り広げられている.本研究の目的は,ITSの実用化事例の一つである駐車場案内・誘導システム(PGI)に着目し,その効果を計測できる方法を開発するための基礎的検討を行うことにある. (1)駐車場情報を含む高度な交通情報やリスクに対するドライバーの評価と行動に関する研究,ネットワークの動的分析手法およびITSシステムの効果計測に関する国内外の既存研究を体系的に整理した. (2)駐車場情報に対するドライバーの動的な反応についてモデル分析を行うため,平成7年2月から全面的に運用開始された松山市駐車場案内システムに含まれる駐車場17箇所を対象に利用実態調査を実施した.過去の調査結果と併せて比較分析したところ,PGIシステムの認知度は90%に近いが,利用率は20%と必ずしも高くはなく,この傾向は大きく変化していないことがわかった.駐車場情報がドライバーに利用されるに至るプロセスを記述できる動的行動モデルの開発,および情報の種類や表示内容に対するドライバーの評価構造のモデル分析のための基礎的知見を得た. (3)得られたドライバーの行動モデル(情報の有無による駐車場と経路の選択の差異を記述できる)をこれまでに開発してきた道路網・駐車場システムシミュレーションモデルのサブモデルとして組み込み,モデルの改良を行った.PGIシステムの情報板の位置による効果の差異を調べたところ,駐車場を変更した後のドライバーにも利用できるような位置に情報板を置くことが有効であることがわかった.
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