研究概要 |
都市域においては,縮尺1:10,000〜1:25,000のカラー空中写真がかなりの頻度で撮影されていることに着目し,それらを利用して都市域の実状調査をする方法を検討した。 公共団体に集約される資料の大部分は届出資料に基づくものであり,これらは町丁目ごとには集約し易いが,平面座標に基づいた記録とすることには困難が多い。そこで,届出資料が存在せず,かつ届出資料とは性格の異なる資料の例として,植生面積分布(緑被率分布)をとりあげ,平面座標に基づく計測法(メッシュデータ取得)で,それらが的確に観測できるかどうかを調べた。 観測法としては次の2種を実行した。(1)格子内の緑被率を直接に目測で判断する方法。(2)格子内に点をばらまき,植生上に落ちた点数の割合を求める方法。 2都市において(岡山市と北九州市において)地被状態を5種類に分毛,それぞれについて400m×400mの計測領域を設定した。結果の要点は次のとおりである。両方法ともにほぼ同じ観測結果を得たが,縮尺の小さい写真を用いると(2)の方がばらつきは大きくなる。冬の写真を用いれば緑被率は小さく観測された。(2)の方法は,比較的観測者の心理的負担は小さいが,縮尺の小さい写真を用いると観測の困難を伴い,観測値のばらつきが大きくなる。両方法とも実行可能であるが,数%程度の誤りは避けられない。
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