研究概要 |
本研究は,冬季観光交通による交通渋滞問題を取り上げ,TDMの観点から渋滞対策の検討を行ったものである.事例研究としては,新潟県湯沢町を対象とした.同地域は,関越自動車道や上越新幹線の開通により関東方面へのアクセスが向上し,年間を通して多くの観光客が訪れるようになった.特に観光客の中でもスキー客が年間約800万人とその大部分を占めており,週末には関東方面への集中する自動車交通により,湯沢I.Cを中心として交通渋滞が大きな社会問題となっている.また同町内には約15,000戸のリゾートマンションが建設されており,湯沢町の経済や財政,土地利用,さらには交通問題等に大きな影響を与えている. 本研究は,大きく2つの部分から構成されている.1つは,交通渋滞問題をTDMの観点から評価するものであり,具体的な対策としては,集中交通量の分散の観点からの交通情報提供による帰宅時間の分散効果,交通容量の増加対策としてのチェーン着脱場の整備効果,及び交通量の削減としてのP&BRシステム導入の効果分析である.これらの各種の渋帯対策効果を評価するために,交通流動シミュレーションモデルを作成した. 2つ目の課題は,リゾートマンションオーナーを対象としたマンションの利用実態の調査である.この調査の目的は,湯沢町の最も大きな産業である観光産業を中心とした今後のまちづくりを考える上で,マンションオーナーの動向を調査し,町内における生活環境やマンションの施設の問題,さらには公共交通等の問題を広く検討し,今後の湯沢町のまちづくりのための資料とするものである.
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