研究概要 |
螺旋状糸巻きを持つ連続繊維補強ロッド材の付着性能を実験より定量化するのが本研究の目的である。 平成8年度の実験では糸の巻付け方法を2種類とし、両者を比較した。前者は、径10mmの連続繊維芯材の節部に相当するものとして芯材と同一材料で4400g/kmの連続繊維を螺旋状に巻付け、いわゆる凸形の異形ロッドとしたものである。後者は、径8mmの芯材の外側をを厚さ1mmの同一繊維で被覆し、これに細糸で螺旋状に一定間隔の凹み与え、いわゆる凹形異形ロッドとしたものである。実験の結果、凸型では螺旋状の節が芯材から剥離することで付着限界に達し、付着強度は異形鉄筋の場合の45%程度にとどまった。これに対して凹形では、芯材と被覆材が一体となって滑りに抵抗し、最終的にはコンクリートと被覆材の境界面の相対滑りで付着限界に達した。付着強度は150kgf/cm^2程度で、異形鉄筋と同等であった。 平成9年度は前年度の結果に基づき、凹形試験体に限定し、実験変数は、繊維種類(炭素、ガラス、ビニロン)、節間隔(6,9,12mm)、付着長さ(60,90,120mm)、コンクリート強度(250,350kgf/cm^2)とした。実験の結果、炭素・ガラスとも同レベルの付着性能をもち異形鉄筋に匹敵した。ビニロンの付着強度は他の60%程度にとどまった。次に、節間隔が短いほど付着強度は上昇した。異形鉄筋と同じ(6mm)にするのが最良であった。さらに、コンクリート強度が増大すると、付着強度も増大するし、強度のバラツキも小さくなった。 これらのことから、凹形の螺旋状糸巻き連続繊維ロッドは短期荷重時の付着性能を十分に発揮し、異形筋と同等であると結論できる。長期的な性状(クリープ性状)については、現在計測を開始した段階にあり、今後研究を継続する所存である。
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