研究概要 |
4体の実大柱・梁接合部の実験を行った。梁としては、圧延H形鋼350x357x19x19を用い、柱の片側に梁が取り付くT形の部分架構とし、繰返し荷重により破壊に到らしめた。本実験のねらいは、溶接欠陥が梁端部の引張耐力に及ぼす影響にあるため、次の方法で人工的な溶接欠陥を設けた。 1.柱が溶接H形鋼の場合(供試体1,2):梁端部を部分溶け込み溶接とした 2.柱が角形鋼管の場合(供試体3,4):溶接開先内部に鋼板を予め挿入し、不溶着部分を発生させる フランジの片側に床スラブを想定してガセットプレートを溶接し、上フランジと見なし、溶接欠陥は下フランジのみとした。すべてスカ-ラップ無しのディテ-ルとした。 供試体1,2は、数回の繰返し載荷の後、回転角1/6程度(スケルトン塑性変形倍率で30程度)まで変形を与えたが、下フランジは破断せず、局部座屈と構面外座屈で耐力が決せられた。なお、内部欠陥及び溶接止端部より数mmの亀裂の進展がったが、安定成長を続けた。供試体3,4は、下フランジにおける欠陥より成長した延性亀裂および脆性破壊により耐力が決まった。しかし、スケルトン塑性変形倍率は8〜6程度であり、なお、十分な変形性能ありと判定された。 実験結果の解析は続行中であるが、破壊評価線図(failure assessment diagram)の手法で欠陥の評価を行う予定である。
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