研究概要 |
1.本研究では、住宅営団・三和町住宅地において、考慮された住宅地計画を基盤に、戦後から成長期には住民の活発なまちづくり活動、その後、行政の手によって整備が進んだ経緯を明らかにした。とくに、数多く設置された小公園の価値は高い。 2,まとまりある住宅地であることによつて、住宅(宅地)の相互交換や、親族の近住などの居住ネットワークが発生して近隣関係を活性化させてきたが、三和町の消滅は、その力を失わせている。 3,個々の住宅についてみると、住宅規模と宅地の規模と形態の関係ならびに道路区画のあり方の研究が踏まえられていた当初の計画にもかかわらず、その後、住民の志向によって宅地規模や形態に関係なく住宅規模が自律的に増大し、住宅地の建築密度を高めている。住宅規模拡大の要因としては、家族の住要求に加え、昭和30〜40年代にかけては貸間、賃貸アパートの付設、また、近年では3階建て住宅の実現を契機とした2世帯住宅化がある。これらは、自然環境の生成にも、近隣関係の活性化にも、マイナスの要因となっている。 4,今後は住民の人口構成等の変化に対応させて、当初の計画をより生かした整備が求められている。本研究としては、把握した事実の分析をさらに進めて当初の住宅・住宅地計画を検証し、また、住宅地の変容のメカニズムとその条件についてさらに明らかにして、今後の住宅地計画に対する有効な知見としてまとめていきたい。
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