研究概要 |
高齢者住宅,親密なコミュニティ,地域社会への帰属感など,社会的ハウジングの文脈において考慮にいれるべき課題は,今日積極的に探求されなければならない。 現代の様々な住宅供給は,家族を分離し,近所づきあいの雰囲気を損ねているが,居住者たちは,もうひとつのハウジングを求めている。もし住み手たちが ・共同居住 ・自立した住戸 ・計画への参加 を望ならば,それがコレクティブハウジングである。 阪神淡路大震災後のパイオニア的プロジェクトとして,公営コレクティブハウジングのコンセプトは,伝統的な下町コミュニティの長所をたちあげている。 計画的段階のみならず,入居前のワークショップでの日本最初のユーザー参画型公営コレクティブ住宅が,神戸市の真野地区に1998年のはじめに建てられることになっている。そこではユーザーは高齢者にやさしい環境と,清掃,草花育て,食事など,日常生活機能の共同化の機会を望んだ。 人々はこうしたコレクティブハウジングを,時々使う目的的な集会所とは違った,自分の家の延長と考えることになる。それはいわば,従来のモノとしての住宅供給や制度的福祉をこえて,「ウェルビーイング」=「一人ひとりがよりよく生きる」という自立と支え合いをもとに,住宅・福祉の緊密な関係による生き生きとした居住状況をもたらす。コレクティブハウジングはウェルビーイングの居住環境モデルである。 本研究は,ウェルビーイングの居住環境モデル構築の視点から,コレクティブハウジングの計画プロセスのワークショップが,楽しみながら共に住むことの意味や効果について,気づきを助長することを明らかにしている。
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