研究概要 |
本研究課題のクラック先端遮蔽と転位構造に関して遂行した研究の成果は,次のように要約される. 1.新規購入したワークステーションを立ち上げ,クラック先端の状態を計算するに必要なプログラム,すなわち,クラック場における転位の生成と運動および不純物原子の移動と集積に対するシミュレーションプログラム,分子動力学計算プログラム,結晶結合状態計算プログラムの移植と開発を行った. 2.イオン結晶の高温での脆性一延性遷移おける転位挙動を光弾性法などを用いて調べた結果,交差すべりと転位集積による変形帯形成が遷移の原因であることを明らかにした.また,岩塩型構造をとるイオン結晶では,交差すべりが従来考えられていた{110}から{001}へのすべり系移動ではなく,{110}から{112}への交差すべりであることを実験的に見い出し,これを対応した計算プログラムの改良を行った. 3.微量不純物原子などの点欠陥を含む結晶に対する予備計算として,まず,クラック-不純物相互作用の三次元計算を行い,欠陥の異方性とクラック先端反遮蔽効果の関係を計算によって明らかにした.また,欠陥まわりの電子状態計算を行い,欠陥近傍の原子変位の状態を分光学的実験結果との対応から明らかにした.
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