研究概要 |
セラミックス粒界と気体との相互作用を調べるためにモデル粒界を作成して界面電気特性の測定と焼結体中から単一粒界だけを取り出しマイクロマニュピレーターを用いて微小な界面の電気特性を測定した.モデル界面を作成するために必要な単結晶をキセノンランプをを熱源とするFZ法により育成した.得られた単結晶はLaを0.2mol%添加した半導性SrTiO_3,Ba_<0.05>Sr_<0.95>TiO_3およびBa_<0.1>Sr_<0.9>TiO_3である.成長方位はそれぞれ(001),(210),(111)である.これらの単結晶を所定の組み合わせで1540,1670℃圧力0.1,1.5,2.6Mpaの条件で加熱接合して試料を作製した.これらの接合試料は作成直後の状態で既に電圧-電流特性に非直線性が認められた.さらにこの試料を還元雰囲気中1185℃に加熱すると非直線性が消滅し,この非直線性は酸化-還元雰囲気により可逆的に変化することが明らかになった.接合部分の微構造観察から接合界面には1540℃以上の昇温時に一度液相となり,冷却時に再結晶して形成したと考えられる界面層が認められた.この層が単結晶の接合と電気特性に深く関与しているものと考えられる. また単一粒界試料の微小領域電気特性測定においては,試料作成方法が重要であることがわかった.薄片試料作成のための研磨により粒界の電気特性が劣化し,この劣化は数100℃のアニール処理により回復することが明らかになった. 試作したステージを用いて単一粒界試料や強誘電体薄膜試料の粒と粒界の抵抗率,誘電率,緩和特性を複素インピーダンス法,ICTS法,TSC法で測定した.酸化亜鉛,チタン酸ストロンチウムバリスターの単一粒界試料は試料の酸化還元処理により粒界近傍の電気伝導度が可逆的に変化することが明らかとなった.
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