研究概要 |
球形粒子が分散されたセラミック複合材料におけるき烈進展挙動をシミュレーションするシステムを開発し,き烈進展経路及び破壊抵抗に及ぼす熱残留応力の影響を対して調べた.材料としては,SiC粒子分散Al_2O_3マトリックス複合材料とAl_2O_3粒子分散Sicマトリックス複合材料を対象とし,粒子とマトリックス間の熱膨脹係数差により発生する熱残留応力とき列による集中応力との相互作用に関して調べた.複数に偏向した長いき烈の応力拡大係数は体積力法による数値解析から求め,粒子体積率5%〜30%の範囲でき列の2次元的な連続進展挙動をシミュレーションした.Sic_<(p)>-Al_2O_3複合材料においてはSiC粒子まわりの円周方向に存在する引張の残留応力がき裂を引き寄せる傾向があり,Al_2O_<3(p)>-SiC複合材料においてはAl_2O_3粒子まわりの半径方向に存在する引張の残留応力がき烈を押し出す傾向がある.これら残留応力の影響でSiC_<(p)>-Al_2O_3複合材料の破壊抵抗はき烈進展と共に上昇するRカーブ挙動が現れ,この上昇Rカーブ挙動は界面の破壊靭性にあまり影響されないことが分かった.一方,ホットプレスにより作製されたSiC_<(p)>-Al_2O_3複合材料においても同様のRカーブ挙動が確認され,残留応力のみによるRカーブ挙動の発現機構が解明された.また.Sic_<(p)>-Al_2O_3複合材料の場合は粒子体積率と共に破壊靭性が上昇するのに対して,Al_2O_<3(p)>-SiC複合材料の場合は逆に減少するシミュレーション結果が得られた.これはき烈が熱残留応力と相互作用し偏向進展した結果であり,き烈の直線進展モデルから予想される結果とは異なるものである.この場合はき烈の3次元的な進展が破壊抵抗上昇の主な機構であると判断される。
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