研究課題/領域番号 |
08650820
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
冨田 恵之 (富田 恵之) 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70081370)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 改良熱処理 / 中断焼入れ / 三相混合組織 / 上部ベイナイト / 残留オーステナイト / 焼戻しマルテンサイト / 変態誘起塑性(TRIP) / 機械的性質 / 破壊じん性(J_<IC>) / 疲れ強さ / 変態誘起塑性 / オーステナイトの安定性 |
研究概要 |
本研究ではエコマテリアルFe-C-SトMn系材料の複相組織化による機槻的性質の向上を目指してFe-0.6C-1.5Si-0.8Mn鋼に改良熱処理(493KIQ-Aus及び533KIQ-Aus)(Ms点下の温度(493K及び533K)で中断焼入れした後直ちに引上げオーステンパする熱処理)を施し、そのミクロ組織、引張特性、静的及び衝撃曲げじん性、破壊じん性(J_<ic>)及び疲れ特性を調べた。その結果優れた機械的性質を有するFe-C-Si-MnTRIP(533KIQ-Aus)網を開発することができた。その成果は次のように要約される。(1)改良熱処理を施すと炭化物をほとんど含まれない上部ベイナイト、残留オーステナイト(γ)及び焼戻しマルテンサイト(TM)の三相混合組織が得られた。(2)533KIQ-Aus網では通常のオーステンパ(Con-Aus)鋼比べて引張り強さが向上するとともに破断伸びが約2倍になった。(3)真応力、真歪み及び加工硬化指数の解析とX線回折によるγ中の含有炭素量とγの熱・機械的安定性の決定から、533KIQ-Aus鋼の破断伸びが著しく向上するのは低温時効によって適度に安定化されたγが塑性変形中に変態誘起塑性(TRIP)を起こすことに帰する。(4)533KIQ-AusとCon-Aus鋼の静的曲げ及びシャルピー衝撃破壊エネルギにはほとんど差がなかった。(5)533KIQ-Aus鋼ではCon-Aus鋼及び通常の焼入れ焼戻し(QT)鋼に比較してJ_<ic>が向上するが、493KIQ-Aus網では反対に低下した。(6)533KIQ-Aus網のJ_<ic>の向上はき裂進展時にTRIPが有効的に起こりき裂先端での応力集中が緩和されることによる。(7)493KTQ-Aus鋼のJ_<ic>が低下するのは中断焼き入れによって導入されたTMがぜい化を引き起こすことに帰する。(8)疲れ試験ではIQ-Aus鋼の疲れ強さはCon-Aus及びQT鋼に比べて約1.5倍となるとともに切欠き感受性も向上した。(9)493KIQ-Aus鋼ではその疲れ強さはCon-Aus鋼のそれの約2.5倍に達するが切欠感受性が著しく増大した。(10)533KIQ一Aus鋼及びCon-Aus鋼のき裂伝ぱ速度を測定した結果両者の問にほとんど差がなかった。
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