研究課題/領域番号 |
08650845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤本 愼司 大阪大学, 工学部, 講師 (70199371)
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研究分担者 |
柴田 俊夫 大阪大学, 工学部, 教授 (90001205)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1996年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 不働態皮膜 / 半導体 / 多層構造 / 光電気化学応答 / その場観察 / 耐環境性 / 電子構造 / ステンレス鋼 |
研究概要 |
ステンレス鋼などの耐環境性合金は、水溶液中では不働態皮膜と呼ばれる酸化物系超薄膜によって表面が保護されることによりその耐環境機能を発揮する。この皮膜は半導体的特性を持つことが知られているが、さらに層状構造を有すると考えられている。半導体的性質を水溶液環境にてその場観察する方法として光電気化学応答解析法があるが、この方法では測定対象の不均一性に関する情報を得ることは困難であり、特に不働態皮膜の多層構造の解析に応用された例は無い。本研究では光電気化学応答スペクトルをいくつかの成分に分離することによってクロムおよび鉄-クロム合金の不働態皮膜の層状構造を光電子分光法を併用して半導体的性質の観点から明らかにすることに成功した。純クロムの不働態皮膜は約3.7eVのバンドギャップをもつクロム酸化物と約2.5eVのクロム水酸化物の2層からなり、その半導体特性はそれぞれ分極電位によって、p型からn型へと変化する。一方、8,14,および18%のクロムを含む鉄-クロム合金の不働態皮膜も、同じバンドギャップをもつ同様のクロムの水酸化物と酸化物から構成される。これらのうち、水酸化物は金属・合金組成ならびに電極電位、分極時間の経過に関わらずその性質はほとんど変化しないが、酸化物層については不働態中のクロム濃度増加に伴って、純クロムに生成する酸化物の性質に近づくことが分かった。一方、8および14%のクロムを含む鉄クロム合金では、鉄酸化物に関する応答が見られたが、18%クロムではそれは見られなかった。鉄クロム合金の不働態皮膜の酸化物相は鉄を含む主にクロムの酸化物であるが、18%では皮膜中へのクロムの濃縮が大きいため鉄酸化物は局在状態となって半導体的性質が現れなかったと思われる。一方、低クロム合金でも皮膜中でのクロムの濃縮は生じているが、鉄の酸化物相は3次元的な連結性を保つため、半導体性質を発現すると考察された。
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