研究概要 |
本研究は一度汚染された鳴き砂の復元を目的に,石英砂表面の洗浄の機構を解明し,より効率の良い鳴き砂の量産プロセスの基本設計をすることにある。石英砂に発音特性を発現させるための洗浄方法は種々考えられるが,洗浄後の処理のしやすさ等を考慮し,本研究では水平旋回運動機構を有する回分式の洗浄機を試作し,水による洗浄実験を種々の条件で行った。洗浄効果は石英砂の発音特性を調査し評価した。得られた主な結果は次の通りである。 1)洗浄時間の経過と共に,石英砂は倍音構造の発音特性を示すようになる。 2)洗浄時間の短縮法として,超音波照射や煮沸等の前処理および微量の界面活性剤の添加が有効である。 3)洗浄効果に対する石英砂の濃度には最適値が存在する。 4)石英砂の粒子径は,約600μm程度で比較的サイズの揃っている方が鳴き砂になりやすく,約300μm以下の石英砂は鳴き砂の発音特性をほとんど示さない。 5)洗浄によって脱離する微粒子のほとんどが0.2〜100μmの範囲の粘土粒子であるが,洗浄時間によって脱離する微粒子のサイズが異なる。 6)本洗浄機の回転数は大きい方が,洗浄効果が大きく,より短時間で鳴き砂までの洗浄が達成される。 7)石英砂の洗浄は,スラリの流動に伴い生ずる石英砂と水との速度差によるせん断力による付着微粒子の剥離ばかりではなく,石英砂同士の接触による除去効果も大きい。 8)鳴き砂の量産には,回分式の洗浄法ではなく,石英砂スラリに旋回運動を生じさせ,石英砂の分級も同時に行えるような水流式洗浄機がより効果的である。
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