研究概要 |
バイオインダストリーのダウンストリーム処理に対する効率的な分離手段の一つとして,気泡塔を利用した新しい連続分離プロセスの開発を行った。気泡塔底部で連続発生させた微笑気泡の表面に目的の物質を吸着させ,この気液界面部分を気泡塔上部で発生する微小液滴を液滴回収装置によって連続的に外部へ取り出すことによって,希薄に溶存する生化学物質の濃縮がいかなる因子によって支配されているかをモデルおよび実験によって考察した。分離対象物質として,卵白アルブミン,牛血液ヘモグロビン,フェニルアラニン,ロイシン,バリンなどの各種生化学物質を用いて,液滴流量測定実験および濃縮実験を行い,以下に示す成果を得た。 (1)液滴発生面における液滴の流量に与える,液物性と操作条件の影響を検討し,Ohnesorge数を含む無次元相関式によって液滴流量を良好に予測できることを明らかにした。 (2)気泡表面に対する目的物質の吸着はLanmuirの吸着等温式に従うことを明らかにした。物質に固有な2つの吸着パラメタ(飽和吸着量および吸着平衡常数)が液pHによってどのように変化するかを実験によって決定し,特に飽和吸着量は等電点で最大となることから,気泡表面へのこれらの物質の吸着は基本的に分子の2次元充填であることを見出した。 (3)本操作における目的物質の濃縮率をモデルによって考察し,濃縮率はOhnesorge数,気泡径,2つの吸着パラメタおよび塔内液濃度によって決定させることを明らかにした。
|