研究概要 |
本研究では,溶融状態を含む鉄鉱石粒子の固体炭素による還元速度に関する基礎データを得ることを目的として,粒子落下型反応器をを用いて,高温気流中における炭素被覆鉄鉱石の還元挙動を追跡するとともにその速度解析を行った。そして炭素源中に硫黄を添加した炭素被覆鉄鉱石を調整し,その還元挙動を追跡すると共に,急速還元における炭素源と溶解鉄中における硫黄配分挙動を明らかにした。 炭素被覆鉄鉱石粒子は,鉄鉱石粒子とタール模擬物質としてのフェノールフタレインを混合し,乾留することにより調整した。窒素気流中,1073〜1860Kの反応器温度で炭素被覆鉄鉱石を急速加熱したところ,1650K以上で溶解が始まるとともに還元速度が増大した。また鉄鉱石粒子中に,金属鉄と二価および三価の鉄が共存していることが確認された。処理温度や処理時間に伴う鉄形態の分析結果をもとに,体積反応モデルに基づき,Fe_<>O_3からFeO(s),FeO(s)からFe(s),そしてFeO(1)からFeO(1)への各反応速度パラメーターを決定した。その結果,.溶解酸化鉄の金属鉄までの還元速度は,既往の文献値に比べ数倍以上,大きな値となった。次に,硫黄を添加した炭素被覆鉄鉱石を反応器最高温度1773Kの気流層中で急速加熱したところ,被覆炭素中の硫黄の約6割が鉄中に移行し,FeSを形成した。また同一条件下で硫黄を含まない炭素被覆鉄鉱石を処理したところ,硫黄の存在により鉄鋼石の還元速度が低下するという結果が得られた。
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