研究概要 |
吸着相互作用の分子論的検討は高選択性吸着剤の選定・開発において有用である.本研究では飽和-不飽和炭化水素分離のための吸着剤開発を目的とし,種々の金属含有シリカゲルにおけるエチレンとエタンの吸着構造と相互作用エネルギーを分子軌道計算(プログラム:Gaussian92,基底関数:LANL1DZ,構造の最適化:HFレベル,相互作用エネルギー計算:MP2レベル)により決定した.その結果,Ti,Alを複合したシリカゲルにおいては表面に酸点が生じる場合,エチレン選択性が現れた.以上の理論的検討に基づいて,ゾル-ゲル法によってチタン,アルミニウムを複合したシリカゲルを作製した.金属アルコキシドとシリコンメトキシドの加水分解速度が大きく異なるので,二段階加水分解法を採用して湿潤ゲルを合成し,炭酸ガスを用いて湿潤ゲルを超臨界乾燥することによってシリカ-チタニアエアロゲル,シリカ-アルミナエアロゲルを作製した.作製したエアロゲルの細孔特性を窒素吸着法によって評価したところ,金属複合エアロゲルはマイクロ孔をもたないメソポーラスゲルであった.エアロブルの細孔径,比表面積,細孔容積が金属含有量によって顕著に変化することから,細孔制御の可能性を指摘した.調製したエアロゲルにおけるエチレン,エタン,プロピレン,プロパンの吸着実験の結果,シリカ-チタニアエアロゲルにおいてはエチレンやプロピレンの吸着選択性が得られなかったが,シリカ-アルミナエアロゲルにおいては選択性が発現し,不飽和炭化水素分離のための吸着剤としての可能性が得られた.
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