研究概要 |
生理活性物質の需要の拡大に伴い,高選択的かつ高速な光学分割法の開発が急務である.高選択的,高流束の不斉認識分離膜の開発を行うため,新規製膜法としてプラズマ重合反応を利用して膜素材に不斉源を導入する乾式製膜法について検討を行った.また,圧力勾配下での膜による光学分割(この場合,濃度勾配に基づく拡散流と圧力勾配に基づく粘性流を伴う)における不斉認識機構を明かとするため,分離係数および溶質流束に及ぼす溶質濃度,操作圧力について検討し,さらに収着実験による膜への溶質の親和特性についても検討した. 1. 膜に固定化する不斉源としては,天然光学活性体であるシトロネロールを用い,プラズマ重合反応により酢酸セルロース多孔質基板膜への直接固定化を検討した.プラズマ重合条件(プラズマ重合時間,出力等),基板膜細孔径の光学分割における透過流束・分離係数に及ぼす影響を検討した. 2. 得られた膜の光学分割特性を検討した.分離対象物は,医薬品原料として有用なアミノ酸類を用い,光学異性体分離係数,透過流束に及ぼす操作圧力,供給液濃度の効果を検討した.さらに,収着実験により得られる溶質の膜への分配係数をもとに,溶質流束式の基づいて限外ろ過実験結果を解析し,不斉認識機構の解明した.
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