研究概要 |
本研究は石炭火力発電所から排出される脱硫廃水中に含まれるホウ素を,溶媒抽出法により分離回収するプロセスを開発することを目的とした。抽出系として、酸性条件下においてホウ素に対し有効な抽出剤であるBEPDを,また溶媒としてEHAを用いた。回収剤としてはアルカリ水溶液を用いた。抽出平衡および連続実験により以下ような結果を得た。 1)抽出剤濃度について,抽出率と相分離等の操作の安定性の両方の観点から,1kmo1/m^3が最適であると考えられた。 2)油相に抽出されたホウ素の回収相として、他の研究者によっても広く用いられているNaOHが良いとされてきたが,回収率やイオン強度の影響によりその使用濃度範囲は限られた。NaOH以外のアルカリでも、NaOH同様に100%の逆抽出率を得ることが可能であつた。 3)正抽出・逆抽出を連続的に行い油相を循環させる場合,長期間の使用により抽出剤が水相への溶解に伴う抽出率の減少が問題点として上げられる。そこで事前に廃水を油相で飽和させる等の前処理が必要であると考えられた。また逆抽出におけるホウ素の回収の際にも,回収相を循環させ常に回収相を油相で飽和された状態にすることで抽出剤の溶解を抑え,高濃度のホウ素回収液を得ることが可能であると推察された。
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