研究概要 |
本研究では,(1)メソ多孔体の最適合成条件の探索,(2)金属イオンのメソ多孔体への担持方法の開発,(3)メソ多孔体へ担持した金属の物性評価,(4)金属イオン担持メソ多孔体の触媒反応への応用について検討を行った. (1)では,メソ多孔体合成原料(コロイダルシリカ,テンプレート分子,水酸化ナトリウム,水)の組成比,原料混合時のpHと温度,水熱合成時の温度と時間などについて詳細に検討した.その結果,アモルファスシリカから構成され比表面積1000m^2g^4以上,平均細孔径2.2nmのハニカム構造を持つ,規則性メソ多孔体を再現性良く合成するに至った.(2)については汎用性を有する新規な方法の開発を目的として,メソ多孔体合成時に用いたテンプレートイオンと金属イオンとの交換を水溶液中で試みた.種々の水溶性金属塩に対して本法を適用した結果,1,2族を除く第4周期金属イオンなどが担持可能で,その担持量は水溶液濃度によって制御できることを明らかにした.(3)では上記(2)で調整した種々の金属イオン担持メソ多孔体について透過型電子顕微鏡,電子スピン共鳴法などを用いて金属の担持状態を検討した.その結果,凝集して孔径以上の粒子を形成するもの(例えばCu)から,高分散で担持されているもの(例えばMn)まで金属種によって集散の度合いは異なっていることが示された.(4)ではトランススチルベンのエポキシ化反応への応用を図った.酸化剤,溶媒,反応温度を検討した結果,酸化剤としてt-プチルハイドロペルオキシドを用い,アセトニトリル-ジメチルホルムアミド混合溶媒中で反応を行うと,特にMn担持メソ多孔体を触媒とした時,93%の高収率で目的のトランススチルベンオキシドが得られることを見いだした.
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