研究概要 |
1.マンガンカタラーゼ遺伝子解析 兵庫県湯村温泉より単離した好熱性細菌Thermus sp.YS 8-13の染色体より909塩基よりなるマンガンカタラーゼ構造遺伝子のほか、大腸菌プロモーターならびにSD配列と類似の構造を含む上流386塩基、タ-ミネーター構造らしい部分を含む下流部分の102塩基,合計約1.4kbpのDNA断片をクローニングし最終的にその塩基配列を決定した。この構造遺伝子塩基配列から推定された302残基のアミノ酸配列は、最近報告された乳酸菌のマンガンカタラーゼのアミノ酸配列と、相同性は34%に過ぎなかったが、4カ所について部分的に相同性の高い箇所があり、この部分からマンガンイオン対を含む活性部位の構造を推定した。このDNA断片上流にはCynRと相同性47%の配列が認められ発現制御に係わる可能性が示唆された。 2.マンガンカタラーゼの大腸菌における発現 構造遺伝子部分のみを大腸菌の高発現プラズミドpETシステムに組み込みpETMNCATを作成、大腸菌BL21株で当該酵素の発現を試みたところ、BL21/pETMNCATは著明量の36kDa外来タンパク質をインクルージョンボデイとして生産した。これを8M塩酸グアニジンで変性可溶化後、マンガンイオンを加えて透析する事によって,蛋白質のほぼ半量が可溶画分に移り、カタラーゼ活性が認められた。この活性はアジドによる阻害度がヘムカタラーゼよりも低いこと、N末アミノ酸配列、サブユニット分子量、オリゴマー分子量、Vmax,KM値が好熱菌精製マンガンカタラーゼのものと一致することなどから,Thermus sp.YS 8-13マンガンカララーゼ遺伝子の発現タンパク質であることを確認した。
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