研究課題/領域番号 |
08651008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
林 良之 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50026001)
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研究分担者 |
老田 達生 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90152032)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 絹新精練法 / 絹精練廃液 / セリシン / 脂肪酸 / アシル化セリシン / 高分子界面活性剤 / アミド化セリシン |
研究概要 |
セリシンはセリンを主な構成アミノ酸とするタンパク質であり、生糸の精練で得られるが、従来の精練法では損傷が大きく廃棄されていた。京都府織物指導所が新規に開発した精練法で得られるセリシンは、従来法に比べ損傷が少なく高分子量であることが判っている。そこでこのセリシンの合成原料として用いる可能性の一つとして、高分子界面活性剤の合成を検討した。 まずセリシンのモデルとしてセリンのN-アシル化を試みた。セリンの弱アルカリ水溶液に酸クロリドのTHF溶液を超音波照射下で滴下して、目的物を高収率で得た。このアシル化セリンは塩基性水溶液中では良好な界面活性能を示したが、中性、酸性条件下では、水溶性が低かった。そこで、アミノ酸残基の水酸基を修飾して親水基を導入することを試みたが、果たせなかった。 上記の結果を踏まえ、次にセリシンのアシル化を上記と同様の条件で行い、効率よくアシル化セリシンを得た。同様に超音波照射が効果があった。この反応でセリシンのN末端と少量含まれるリジンのアミノ基のほとんどをアシル化したと考えられる。この方法は精練廃水溶液よりセリシンを単離することなく、そのまま原料に用いることができる。さらにこの反応後目的物が析出し、単離が簡単である。これらの点からも本法は有用で、工業化も可能である。C_<14>,C_<16>の脂肪酸クロリドでアシル化されたセリシンは種々の条件下で水難溶性であった。このことはこのアシル化セリシンが高分子量を維持していることを示している。C_<12>アシル化脂肪酸は0.1M NaOH水溶液に溶解し、その表面張力は38mN/mであり、高分子界面活性剤として利用できることが判った。今後、このアシル化セリシンの用途開発が望まれる。
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