研究課題/領域番号 |
08651048
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
高分子合成
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
及川 栄蔵 (及川 榮蔵) 新潟大学, 工学部, 教授 (00018467)
|
研究分担者 |
金子 隆司 新潟大学, 工学部, 助手 (90272856)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | デンドリマー / モノデンドロン / ポリデンドロン / ポリ(フェニルアセチレン) / フェニレンエチニレン / ロジウム触媒 / パラジウム触媒 / 透過選択分離膜 / デンドリマ- |
研究概要 |
本研究では、デンドリマーの特徴を生かし、一つのデンドロンを重合することで製膜性に優れたポリ(デンドリティックマクロマー)(ポリデンドロン)を合成し、そのデンドリマー部位のフラクタル構造が作り出す均一な分子間隙を利用した精密な透過分離膜の創製を目的とし、以下の研究成果を得た。 1. 最外殻部のユニットとして、t-ブチル基、トリメチルシリル基、ペンタメチルジシロキサニル基、ノナメチルテトラシロキサニル基が導入されたフェニルアセチレン誘導体について、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応と脱保護基反応を繰り返すことで第3世代までのデンドリティックマクロモノマーの合成に成功した。 2. [Rh(C_7H_8)Cl]_2を触媒として用い、合成したデンドリティックマクロモノマーを重合することで、重合度数千に達するポリデンドロンも合成できた。世代数の増加に従って重合性が低下し、収率・分子量が低下すること、最外殻部のユニットがかさ高くなることで、第二世代以降では立体障害により重合性が低下すること等、モノデンドロンの構造と重合性の相関を明らかにし、高分子量のポリデンドロンを得るためには、重合部位での立体障害の緩和とモノデンドロンモノマーの平面性が重要であることを見いだした。 3. IR、NMR、X線回折、GPC-LALLS測定により、得られたポリデンドロンはシス-シソイダル構造を有するコンパクトなカラム状分子であることを明らかとにした。 4. 重合度数千に達するトリメチルシリル基またはオリゴジメチルシロキサン鎖を末端に有するポリデンドロンでは、クロロホルムまたはトルエンを溶媒としてキャストすることで、製膜が可能であり、本研究で始めて、デンドリマー分子の自己支持性膜の製膜化に成功した。 5. これらポリデンドロン膜の強度は、重合度に対応していた。丈夫な膜では、酸素窒素透過試験が可能であり、外殻部のシリル基と内部のフェニレンエチニレンのユニット数を調節することで、酸素・窒素透過係数(PO_2,PN_2)および分離係数(PO_2/PN_2)を調節することができることを明らかにした。これらの膜は、ポリ(フェニルアセチレン)やポリジメチルシロキサンやO世代のポリマーに比べて優れた性能を示した。特に、フェニレンエチニレンのユニット数を増やすことで、酸素透過係数をそれほど下げずに分離係数を向上させることに成功し、最も優れた膜では、PO_2=45 barrer,PO_2/PN_2=4.6であった。すなわち、デンドリマー部の均一な分子間隙による分離選択性の向上を達成した。 以上、モノデンドロンを重合し、高分子量のポリデンドロンへと導く方法論を確立し、デンドリマー分子に高分子特有ともいえる良好な製膜性を付与することに成功した。また、デンドリマーの分岐構造が物質分離において有効な基礎構造となりうることを明らかにした。
|