研究概要 |
大深度ににおける地下利用施設あるいは鉱山などの地下空間は,大気から隔絶されることから通気(換気)が不可欠である。一般に地下風道の風量は,岩盤温度,湧出水,入気温度の季節変動などの自然条件及び自然通気圧の影響を受けるほか,運搬路を兼ねることで抵抗変化によって大きく変動する特徴がある。一般には,通気管理担当者が一定期間ごとに風道網を巡回し熱式あるいはビラム式風速計などを用いて風量を測定している。ただし,昼夜の温度変動および運搬機械やその他の発熱源となる施設の稼動状況によっても風量が影響されるので,不正確であったり,測定時点の値が日平均の値からずれることも多い。以上のことから,通気風量を実際に長期モニターすることによって,地下風道網の通気状況を的確に把握することができれば安全工学上有用である。 本'研究では,道網における風速測定の問題点に対し試作した超音波を用いた風速モニターのシステム,計測手法を確立し,長期実証試験を実施した。その結果を要約すると以下の通りである。 1)風道内の車両の通行障害とならず,温度および粉塵などに対する耐環境性にすぐれていることから,長期間のモニター計測が可能である。2)風路内の平均的な風速を精度よく推定でき,気流の方向についても検知可能である。3)風路における運搬機械などの通路も検知でき,異常時における補足データとなりうる。 以上の開発した超音波風速モニターは,性能試験および実際の地下風道における長期間にわたる実証実験などの結果から,十分な測定精度をもち,鉱山などの地下風道に対し適用可能であることが明らかとなり,超音波風速モニターが今後の地下風道における有効な風速監視装置の1つとなる可能性が高いと期待される。
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