研究概要 |
銅細線爆発により円柱状爆薬(PETN)の中心軸を一斉起爆させる技術を開発し、円筒(軸長100mm-60mm,外経34mm,肉厚3mm)の高速膨張実験を行い以下の結論を得た。 (1)20kV,40μFのコンデンサーからの衝撃大電流を用い、PETN円柱の中心軸に設置した175μm径の銅細線を一斉爆発させて円筒状発散爆轟波を生成させることができた。このとき±0.3-0.4μsの斉時性を得るにはPETN円柱の径を8-10mm以上、軸長を240-290mm以下にする必要があることが分かり、定常爆轟到達距離は3-4mm程度と推測された。 (2)この発散爆轟波生成技術の応用として炭素鋼(14%C)円筒内部に同軸のPETN円柱(直径12mm,16mm,28mm)を設置し中心軸を銅細線爆発させて円筒の一様高速膨張実験を試みた。IMACONによる計測結果、円筒はほぼ一様に膨張していることが分かり、ひずみ速度は最高約40,000s^<-1>に達していた。またステンレス鋼円管膨張変形に大きな差はなかったが後者は延性低下のため円周方向ひずみ約20〜30%以下で破壊が生じたと判断された。 (3)レーザ干渉システム(VISAR)による円筒外表面の速度履歴計測は変形の初期においては詳細な挙動計測が可能であり、変形速度の加速・減速を繰り返し全体変形が進行する様子が計測できた。ただし、円筒膨張の変形が大きく進んだ後や、部分的にも破壊が生ずるようになると、IMACONのほうが適することが分かった。 (4)一次元衝撃解析コードと二次元衝撃解析コード(AUTODYN2-D)による数値シミュレーションを試みた。前者では文献データから推定した応力ひずみ曲線を用いたが後者では組込済みのJohnson-Cook(炭素鋼)、Steinberg(ステンレス鋼)の構成式を用いた。構成式による相違はあるが数値解析結果と実験計測とは炭素鋼、ステンレス鋼とも破壊の生じない変形域ではほぼ合致することが分かつた。 以上のように円筒の軸心起爆技術は数値解析と組み合わせれば材料の超高速変形実験に利用できることを確認した。
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