研究概要 |
研究実施計画に従い,栽培コムギ(四倍体,六倍体)及びそれらの祖先種候補である二倍体種のジェノミックのWaxy遺伝子の構造をPCR法を用いて解析した. 六倍体コムギ(AABBDD)では,Triticum aestivumの品種Chinese Springの染色体置換系統を用いて,各ゲノムに座乗するWaxy遺伝子の塩基配列を決定した.Wx-A6(AゲノムのWaxy遺伝子)では,ATGより12塩基上流(-12bp)から終止コドンまでの2,793bp),Wx-B6では,一148bpから終止コドンまでの2,942bp,Wx-D6では,-355bpから終止コドンまでの3,217bpの塩基配列を決定した. 2.四倍体コムギ(AABB)では,T.turgidum var.durumの品種Stewartを用いて,Wx-A4では,-12bpから終止コドンまでの2,793bp,Wx-B4では,翻訳開始コドンから終止コドンまでの2,804bpの塩基配列を決定した. 3.二倍体種の植物では,Aゲノムの候補種としてT.monococcum(AA),T.urartu(AA),Bゲノムの候補種としてAegilops speltoides(SS),Ae.longissima(SISI),Ae.Searsii(SsSs),Dゲノムの候補種としてAe.squarrosa(DD)var.strangulata,var.typica,var.meyeriのWaxy遺伝子を解析し,それぞれ2,566bp,2,547bp,2,584bp,2,576bp,2,580bp,2,627bp,2,629bp,2,628bpの塩基配列を決定した. これらのWaxy遭伝子の構造に基づき,コムギの祖先種から栽培種コムギヘの遺伝子の進化及び進化速度,また倍数性レベルの違いによる構造の変化と倍数体の特性を論じた.
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