研究概要 |
感光性程度を異にする数品種を供試し日長効果(幼穂分化日数)に及ぼす生育時期(5月,7月播種),生育ステージの影響(出芽後3〜24日)の影響,および人工気象室による温度と日長の交互作用について調査し,以下の結果を得た。 1.高温遅延型品種(リュウジンワセ)を用いた人工気象室実験(処理温度20〜28℃)の結果より,22〜24℃の間に分化日数を最小にする最適温度が存在し,少なくとも高温遅延型品種では23℃以上の高温により幼穂分化が遅延するとが確認された. 2.日平均温度が同一(24℃)であっても,昼夜温が異なると幼穂分化日数は変化し,22℃を下限温度とする有効積算温度に比例して幼穂分化日数が増加することが判明した。 3.出芽後0から27日目までの間に,3,6,9日間の短期間短日処理(12時間)の結果,出芽後3〜9日間は日長に感応しない非感光相(基本栄養生長相)が存在し,その日数は高温期で短縮し,品種間差も存在することが再確認された.基本栄養生長相終了後の連続3〜9日間の短日処理により幼穂分化が誘導され,誘導に必要な連続日数に到達しない場合は短日による促進効果がゼロになること,誘導に必要な日数は5月播種(低温期)に比べて7月播種(高温期)で増大することが判明した. 4.以上の結果をソルガム品種の幼穂分化日数を温度と日長から推定する数的モデルに組み込むことにより,従来までのモデルでは推定精度が低かった高温遅延型品種の推定精度が改善されることが確認された.
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